カスタム
シラキの自転車の籠はボロボロであった。いや、籠だけではない、自転車自体ボロボロである。シラキの自転車を借りて、買い物に行く事が多々あるが、鍵などかけた事がない。しかし一度も盗まれた事はない。盗まれる気配さえない。そのくらいボロボロなのである。それを見かねたナカイが「オレに直させてくれ」と言ったかと思うや否や、あっという間に牛乳箱が付けられていた。見違える様に生まれ変わった自転車だが、シラキ本人はあまり満足している様子はなく、代わりに私達が「すっげーかっこいいって!」と太鼓判を押してやった。私はよく、軽自動車の上に海水浴で遊ぶシャチを縛りつけてる車に遭遇する。あの車を見たら、誰にも言わずにはいられないほど、知る人ぞ知る車で、ナカイなどは知っているが、他の者は知らない。その車ばりで、シラキの自転車も伝説になってくれる事を祈る。
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