2007年4月8日日曜日

忍耐

マンガ喫茶にて、真剣にマンガを読んでいると、壁一枚隔てた隣の席の男が電話で話し出した。
「マナー違反め」と思いながらも、すぐに話しは終わるだろうと、またマンガを読み続けた。
しかし、なかなか話は終わらず「長いなあ」と、だんだん気になってきた。それでも、「まさかここで長電話などするはずあるまい」と考え、またやり過ごしマンガを読んだ。
それでもまだ電話は終わらず、ついには話しが盛り上がってきて、声が大きくなってきた。いや、思えば最初から声は大きかった。多少なりとも小声で話していればやり過ごすものを、少しの申し訳なさも出さずにいる所が許せなくなってきた。ついでに話の内容も、どうでもいい、しょうもない話である。
頭に来たので一言言ってやろうと思ったのだが、まずは穏便にと、とりあえず壁をおもいっきり叩いてみる事にした。しかしまったく効果が無く、「やっぱり言ってやるしかない」と、腹を決めた。
そこでふと脳裏に、「万が一、隣の男が逃亡中の殺人犯であったら?」との疑問符が生まれ、「もれなく私も怨まれて殺される」と、即座に答えが出たのでやめた。
店員に言って注意してもらおうとも思ったが、それは何だか人の褌で相撲を取るみたいで嫌だと思ったのでそれもやめた。全く違うと思うが。
そしてもうこれは、神に与えられた試練だと思い、耐えに耐えた。よくよく考えたら自分も、どうでもいいマンガを読んでいるだけである。
マンガ喫茶にて、忍耐を得た私である。

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