2006年1月29日日曜日

社会人


当店アルバイトのフジコは、いつもニコニコしており、完全に天真爛漫である。
ミニスカートにブーツで出勤してくるのだが、大体ストッキングが破けている。一緒に飲みに行けば、パンツ丸出しで酔っ払ってしまい、次の日に「変なパンツ見せてすいません」と、誤り所を間違う。「おはようございます」と、店に出てくれば即座に「今日の賄いは何すか」と聞いてきて、常に腹を空かしている。
そんな彼女であるが、仕事はしっかりしているので頼もしい。将来は、バーテンダーになりたいらしく、只今アルバイトは休み、ホテルのバーにて実習中である。皆で、「フジコちゃんとやってるかね」等と話していた所、フジコがふらっと店に現れた。
「今日は休みなんすよ・・」と、いつもの元気が無いのでどうしたのかと尋ねた所、実習にて社会の現実に打ちひしがれたという。
「社会人て大変なんすね、フジコ今迄すごい楽してたなー」と、漏らすので、「大変な事もあるけど、良い事も一杯あるから」と、皆で色々元気づけると、持ち前のパワーで復活し、昼間から一人カウンターで酒を飲み始めた。
思えば私は、そんな事も感じないまま30を過ぎてしまった様な気がする。人にお礼を言える様になったのも、ここ2、3年の話しである。フジコの方がよっぽど大人である。

2006年1月28日土曜日

職業体験


最近の中学校では、「職業体験学習」なるものがあるらしく、1年に1回ピアッツァにも、近所の中学生が2~3人職業体験に来る。
大体ピアッツァでは、営業前に掃除やテーブルセットを手伝ってもらうのが主な体験である。その日にふらっと東急ストアに行ったりすると、他の職業体験の中学生が、ジャージ姿で品出しをしていたりするので結構うける。
しかし先日、「どうしても厨房の仕事をしたいという子がいる」と、先生に言われたので、「どうぞどうぞ」と受け入れた所、可愛い男の子がやって来た。
小学生と言っても通じそうなくらいの彼だが、いつもやって来る調理専門学校の学生より、やる気も元気も人一倍あった。
私は痛く感動し、仕事が終わった後に賄いをたくさん作ってあげた。すると、「お母さんが作ったお弁当があります」と言われてしまったので、「弁当はおばさんが食べるから、お母さんに言うんでないよ」と言い、無理矢理食べさせた。
後日、彼からレポートが送られてきた。「皆さんのお陰で、目標を見つける事が出来ました」と書いてあり、また感動してしまった。

2006年1月27日金曜日

小早川伸木の恋

北海道の星である、大泉洋ちゃんが出演しているので、ドラマ「小早川伸木の恋」だけは見ようと決めていた。
楽しみに見ると、どうも腑に落ちない。洋ちゃんは良いのだが、小早川伸木の恋のお相手が、かつての「東京ラブストーリー」の赤名リカを思い出させる身勝手さで納得がいかぬ。柴門ふみが描く女性は、あんなのばかりである。どこの世界に、夜中に「動物園に行きましょう」と誘う女がいるのか。私はそんな事を小耳にでもはさんだ日には、「非常識にも程がある、バカも休み休み言え」と、間違いなく説教をしてやる。
毎週文句を言いながら見ていると、コマツが、「白夜行が面白いらしいですよ」と教えてくれた。黙って西遊記と白夜行を見ていれば良かった。

2006年1月26日木曜日

エビちゃん


私達が連休の間、有難い事にマーカスが何日か手伝ってくれている。マーカスは皆に話し掛けて回るので、なんとも賑やかで楽しい。
どこで見たのかマーカスは、マクドナルドのエビバーガーの宣伝をしているエビちゃんというモデルの事が、最近のお気に入りの女性らしく、「エビちゃんかわいい」と皆に言って回っていた。
大吉の所にも行き、マーカスが「エビちゃんかわいい」と言うと、大吉はエビちゃんを知らなかったらしく、「エビジャン?」と、新しい中華の調味料かと思ったと、完全に勘違いしていた。
来月6日からの、大吉の連休の際にもマーカスは何日か手伝いに来てくれる。私達にはアホな事ばかり言ってるが、接客は誰よりもスマートにこなすので必見である。

2006年1月25日水曜日

ナカイ帰国


ヤスがイタリアに行ったかと思えば、ナカイがイタリア旅行から帰ってきた。
お土産だと言って、イタリアのファンタをくれた。ボトルキャップを開けた形跡はないのだが、明らかに匂いがもれている。さすがイタリアである。
キノットだかというそのファンタ、飲んでみると、匂い以上にまずかった。さすがのコマツも、苦虫を潰した様な顔をし、「まずいコーラみたいですね」と、言っていた。キノットを辞書で調べてみた所、「みかんに似た柑橘類」と書いてあったが、そうであればファンタオレンジみたいになってくれても良いのではないか。昔、コカコーラから出て、有り得ない程まずかったタブクリアだかを彷彿させる味である。
私は一口以上は飲む気がしなかったが、皆はナカイのお土産という事で、残す事が出来ず渋々飲んでいた。こんな所でも上下関係があるのか。
楽しく旅行を終えたナカイは、また一回り太って帰ってきた。うちの店はデブばっかりである。

2006年1月24日火曜日

ヤス出発

昨日、ヤスがイタリア旅行へ出発した。
その前日くらいに東京は雪が降り、成田発着便がかなり欠航になったと新聞に載っていた。「おうおう大丈夫か、行けねんじゃねーのー」と、私は高笑いをしていたが、ヤスは切実な顔で新聞の翌日の天気予報を見ており、「雪だるまが傾いてます・・」と、溜息をついていた。なんと、翌日の千歳は吹雪の予報である。
「行けなかったらウケるな」と、コマツに言った所、必死に笑いを堪えながら「・・いえ・・」と言っていた。
今日出勤してきて、「あれ、そいえばヤス行けたなあいつ」と、言っているとコマツが「それがですね」と言い出し、何となく気になってヤスに電話した所、何故か成田発の予定の便が欠航になり、違う便で行ったとの事であった。
無事旅立ったのなら安心であるが、本当に行けなかったら、ヤスがオカマ口調で怒るのが目に見えておもしろかったのだが。

2006年1月22日日曜日

東京旅情2

二日酔いで1日を棒に振った以外は、昼は一人で、行きたかった店をしらみ潰しに当たった。しかし一人だと、色々食べたいのにあまり食べれないのが難点である。
とある店で、若い女の店員さんに注文をした所、「かしこまりました」と戻って行ったのだが、何やら彼女は、サービスの責任者らしき男の人と押し問答をしており、ついには責任者の人が私の所に現れ、「当店のピッツァはこのくらいの大きさですが、よろしいでしょうか」と、大きな皿を持って言われた。一人なのにたくさん注文した為、「一人でそんなに食べれる訳ないだろ」「でも注文されたんです」などと、彼等は押し問答をしていたのだろう。
私は笑顔で「大丈夫です」と答え、言葉通り全部食べてやった。私にしてみれば、十分控えめに注文したつもりであるが、普通の人の量が分からなくなってきてるのかもしれぬ。